ラララ吉祥寺
それでもこの街が、昔懐かしい佇まいを少なからず残しているのは、大きな幹線道路が無いからかもしれない。
井の頭通りと五日市街道に挟まれた吉祥寺はそこを越えて増殖する傾向に無い。
旧街道の道幅は狭く、交通量には自ずと限りがある。
土日、駐車場を求めて列を成す車の脇を歩きながら思うのだ。
これがこの街の限界じゃないかと。
寧ろ北口駅前ハモニカ横丁の人気に見られるように、この街はよりコンパクトに深くマニアック化しているのではないか。
住宅街へと続く細い路地に見つけた隠れ家的な喫茶店とか。細い階段を上った先のセレクトショップ。
行列の出来る和菓子屋小笹の店の間口は相変わらず狭いままだし。
ディスカウントショップロジャースの床の剥がれかけたリノリウムの床は一向に張り替えられる気配もない。
新しく作りかえられているようで、古いものを大事に抱え込んでもいる。
わたしが好きな吉祥寺は、どちらかというと後者の方だ。