ラララ吉祥寺
「龍古堂のホームページ、見ましたよ」
芽衣さんが、朝食の時に切り出した。
「前のやつは、いかにも骨董屋ってイメージでしたけど。
文子さんのイラスト、昔懐かしい古道具屋の雰囲気凄い出てて、いい感じです」
さすが芽衣さんは立派な社会人だ。
同居人の情報収集にまで気が回るなんて凄いと思った。
「そうかな?」
「あの龍が火吹いて、焼き芋焼くアニメーションも可愛いし」
ホームページを作るに当り、木島さんのお店を見に行ったのだけれど、龍古堂って骨董屋っぽい名前負けした、凄く親しみ易いお店だったのだ。
使える古道具、っていう基準がとても明確で、どれも手にとって使ってみたくなる懐かしさに溢れていた。
ノスタルジー?
それは母の世代を超えた祖父母の世代。
わたしの記憶にはない筈の異世界の筈なのだけれど、何故か懐かしく思えるのはそれが人の手を経てきた傷跡があるからなのかもしれないな、なんて。
木島さんの肩で火を噴く緑の龍の顔が、その感覚とあんまりアンバランスで笑ってしまったのだ。
その結果、わたしの頭にイメージとして浮かんだのが、火を吹いて焼き芋焼く龍。