ラララ吉祥寺
「ただいまぁ~ あぁ、良い匂い」
フランスパンと両手一杯の紙袋を携えて芽衣さんが帰宅した。
「芽衣さん、もしかしてそれ全部食べ物ですか?」
「えっと、なんか空きっ腹で買い物してたら、みんな美味しそうに見えちゃって」
買い過ぎました、と可愛く舌をペロッと出して芽衣さんが笑った。
「ワインも買ってきましたよぉ~、赤と白」
「木島さんも店まで戻られたそうなんで、じき帰宅されると思います」
「じゃ、わたし、買ってきたオードブル、お皿に並べますね」
ブロッコリーと海老のサラダにサーモンのマリネ、野菜のピクルスに酢豚?
皿に並べらていく、メニューを見て思わず呟いた。
「なんか酸っぱい系が多いですね」
「う~ん、なんか最近胃もたれしてて、さっぱり系が欲しいかなって」
「えっ、そうなんですか? じゃ、赤ワイン煮は重いかな?」
「いえ、酸っぱい系なんで多分大丈夫です」
自信有り気に拳を握った芽衣さんは、体調が悪そうには思えないほどに、少しふっくらと上気して見えた。