ラララ吉祥寺

だが、一分も経たない内に木島さんが帰宅して、わたしは凄く驚いた。

「もしかして飛んできたんですか?!」

慌てて間抜けな問いを発するわたしを見て、彼はくすりと小さく笑った。

「まさか。たまたま帰宅途中だっただけですよ。

それにしても芽衣さん、心配ですね」

木島さんは直ぐに芽衣さんを抱きかかえ二階の自室へ上げ寝かせてくれた。

熱もないし、意識もあるようだし。

今救急で運ぶより、今晩ゆっくり寝て、朝、様子を見て病院へ行く方がいいだろうと。

「わたし付き添うんで、送って貰っていいですか?」

どこが悪いかわからないので、総合病院に連れて行くのが得策だと思ったのだ。

武蔵野赤十字病院。

ここならは産科も婦人科もある。

どうやらわたしの予感は的中していたようなのだ。

浴室で見た芽衣さんの身体は、明らかに妊娠の兆候を有していた。

少し膨らんだ下腹と、豊かに膨らんだ乳房。

持ち上げた足には若干のむくみがあった。

もし妊娠でないならば、子宮筋腫とかも疑われる。腎臓病か貧血かもしれない。

どちらにせよ、尿検査と血液検査でだいたいの目安はつくだろう。


でも、妊娠に気づかないなんてことなんて、あるのだろうか?
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