ラララ吉祥寺
「あ、はい。直ぐ行きます。病院は何処ですか?」
幸いなことに、病院はわたしが行こうと思っていた武蔵野日赤だった。
わたしは、暫くの入院を覚悟して買い置きの歯ブラシやタオル、そして芽衣さんの部屋着や下着の替えを鞄に詰めた。
無断で部屋に入ることに戸惑いはあったものの、今は緊急事態だと自分に言い聞かせた。
急いだつもりだったのだけれど、病院に着いたのは30分余り後で。
既に飯塚さんの姿は病院にはなかった。
救急から移された芽衣さんの入院先は、やはり婦人科病棟で。
「ご家族の方ですか?」
「いえ、友人です」
「そうですか。
そういうことでしたら、ご本人がお目覚めになってから、ご本人了解の上、ご一緒に説明を受けていただけますか?」
「はい」
病室はこちらです、と案内された部屋で、検査を終えた芽衣さんが眠っていた。
「あの……、もしご家族と連絡が取れれば、知らせた方がいいのでしょうか?」
「それも含め、ご本人の意思を確認された方が良いと思いますよ」
何か事情がありそうですし、と担当の看護師さんは仕事に戻っていった。