†狼BOY×赤ずきんGIRL†
それから数十分、柚姫は泣き続けた。
今はやっと落ち着いてきている。
『でも、なんで俺たちに言わなかったんだ?』
『心配……………心配させたくなかったから……』
『心配って。内緒にされてた方がよっぽど心配だったんだけど。』
『ごめんなさい』
元気がない柚姫。
『学校、行かないか?俺たちが必ずお前を助けてやる。守ってやる。だから、逃げるな!!逃げたら、いじめっ子の思うつぼだ!!いつか我慢してたら、希望が見えてくる。』
柚姫は、俺に抱きつきながら言った。
『……………怖い………けど………皆が……いるから………頑張る……』
『そっか。じゃあ、明日はとりあえず俺が迎えに来てやる』
『本当?!嬉しい』
なんだか、いつもの柚姫に戻ってきたようだ。
『ぎゅっってして?!』
俺は柚姫を強く抱きしめた。
『直哉、最近優しいね。私の事好きになった?』
こいつは…………
調子にのりやがって……
『だから、お前には惚れないって』
『ええ〜!!……………眠くなってきた。』
そういえばこいつ最近寝てないだよな。
『いいよ。膝貸してやるからゆっくり寝ろ。』
『ありがとう』
今日だけだ…………
こんな優しいのも今日だけだ…………
俺は柚姫が寝た事を確かめて下に降りた。
『どうでしたか?』
おばさんは不安そうに聞いた。
『今は、ぐっすり寝ています。明日からは学校にも行くと言っています。』
『本当に?!ありがとう……』
おばさんは泣きながら何度何度も俺にお礼を言った。