幼馴染はアイドル!!
*夏樹Side

俺は取り残されたわけか。

小さくため息をつく。

ここに居ても、おそらく千里兄に何か言われるだけだ。

そう考えた俺は玄関に自分の靴を取りに行き、ついでに鍵も閉めておいた。

千里はすぐに帰ってこないと判断した結果だ。

俺はもう一度部屋に戻り、お茶を飲み干すと、窓から出て、隣のベランダに飛びうつった。

窓を開けて中に入る。

「千里とのお喋りはどうだったか。」

翔は特に驚いた様子もなく、手に持ったギターの調子を確認していた。

たしか、クラシックギターというものだったような気がする。

「お前、何も言ってなかったのか。」

「何でだ。」

のんびりとした様子で返答する。

何を話していたかはわかっているらしい。

「翔、彼女のこと好きだろ。」

翔は少し動きを止める。

だが、何もなかったかのようにまた確認し始めた。

「なんで、そう思うんだ。」

「普通、急にバラードなんて作り始めたら誰だってそう思うだろ。」

てか、前から知ってたし。
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