幼馴染はアイドル!!
「あれ、千里ちゃん、どうしたの?」

「あ、純、君。」

私はぎこちない笑顔を向けた。

だが、純君は特に気にもせず、隣に座るとさらりと聞いてきた。

「ツアーの話し聞いた?」

「あ、はい。」

「急でびっくりしたんだよね。こっちも。」

そう言ってけらけら笑った。

すると、スッと目を細めた。

「急にみんなと会えなくなるかもって思って不安なんじゃない?」

まさに図星だった。

しかし、驚いていると

「沙織がおんなじこと言っててさー。」

と、またけらけらと笑った。

純君とはあまり話したことはなかったが、鋭いのかそうでないのか、いまいちよくわからない。

「確かにさ、今まで親しくしていた人たちが急に離れるっていうのは不安だし、悲しいとは思うけど、」

そう、一度言葉を切ると、私の顔に手を伸ばす。

「会えなくなるわけじゃないじゃん?」

そう言って、乾いたと思っていた目元の涙を優しく拭った。
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