鬼姫の願い
(あぁ、どうして)
どうして信じてやれなかったのだろう。
彼女は、我が子をこんなにも愛しているというのに。
誰よりも大きな愛を捧げていたというのに。
ただ、少し不器用なだけ。
それだけのことだったのだ。
翌日、珍しく楽しそうな顔で駆けてきた梵天丸は言う。
"母上が、笑ってくれる夢を見ました"と。
そんな梵天丸に輝宗は答微笑んで答えた。
「梵、母上はちゃんとお前を愛しているぞ」
鬼姫の願い
(どうか必ず)
(隻眼の龍に)