Sweet Devil~甘くて切ない異世界物語



――――とある真冬の朝


「寒い…」


情けない声が大きい寝室に反響して耳に軽く残る。

唇が酷く冷たい。乾燥してるのか、唇も吐息も水分が奪われる。

自分の肩を布団の中で抱いて、小さく丸まった。

布団から唯一出ている顔。筋肉が強ばって、頬の熱みるみるが奪われて行く感覚が身に染みる。

部屋には外の風の音だけがこの寝室を駆ける。

明け方の冷たい風が頬を掠めるたびに身震いをしていた。

珍しく早起きした事を瑞羽は少し後悔する。

寒さで眼はバッチリ開いている。

< 2 / 17 >

この作品をシェア

pagetop