魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
それは体育の授業が終わった後のことだった。
体操服から制服に着替えようとした凛はロッカーを開けて首を傾げた。何故なら制服が無かったからだ。奥に置いた訳でもなく、間近に置いた筈だった。
鞄を退けて中を確認するも制服は無かった。他の子が使用しているロッカーを確認しても同じこと。凛の制服は無くなっていた。
先生に相談すると『んん?制服が無くなった?盗まれたのか!女子の制服を盗むとはけしからん!』と盗まれたと勘違い。
しかし“勘違い”は勘違いではないのかもしれない、と凛は思った。自分はちゃんとロッカーの中に置いていたのに、無くなるなんて“誰かが”故意に持ち去ったとしか考えられなかった。