魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





それは体育の授業が終わった後のことだった。


体操服から制服に着替えようとした凛はロッカーを開けて首を傾げた。何故なら制服が無かったからだ。奥に置いた訳でもなく、間近に置いた筈だった。


鞄を退けて中を確認するも制服は無かった。他の子が使用しているロッカーを確認しても同じこと。凛の制服は無くなっていた。


先生に相談すると『んん?制服が無くなった?盗まれたのか!女子の制服を盗むとはけしからん!』と盗まれたと勘違い。


しかし“勘違い”は勘違いではないのかもしれない、と凛は思った。自分はちゃんとロッカーの中に置いていたのに、無くなるなんて“誰かが”故意に持ち去ったとしか考えられなかった。
< 101 / 317 >

この作品をシェア

pagetop