魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





甘いものを食べれば落ち着くかも――――――――と思って買ったココアには手を付けず凛はベンチに座ってボーッとしている。


温かかったココアは、既に冷めている。


ココアを持った両手を膝に置く凛は憂鬱な気分だった。


『まさか』のことで着るものがなくなった凛に先生は新しい制服を呉れた。きっと戻ってくることはないだろう。と言う推測で…だ。


その推測に凛は2度目のショックを受けた。


自分の制服なんて一体どうするのかと。そして戻って来ないと言うことが信じ難かった。


『まさか』の次に来たショックに中々立ち直れずにいる。いつもは聖母のように微笑む凛も、今日は表情が固かった。
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