魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「も、もうすぐお昼休みも終わるので行きますね。」
威圧感のある幹久に見下ろされてることに怖くなった凛は空笑いでベンチを立った。
「で、では失礼します。」
若干目を泳がせながらそそくさに立ち去ろうとする。しかし幹久は逃げるように背を向ける凛の手を―――――――掴んだ。
「わっ。」
後ろから手首を掴まれたことで急に足が止まる。
ゴトッ
ココアが滑り落ちた。
「幹久、先輩…?」
振り返った凛は先程と違う意味で目を泳がせる。
――…幹久は終始真剣な眼差しで凛を見据えていた。その全てを見透かすような瞳に、凛は不安に駈られる。