魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
それでも爆発した凛の感情を幹久は抱き止める。泣きじゃくる凛を抱き締めて囁いた。
「俺が傍にいる。」
久々に触れる優しさに凛は耐えきれなくなった。声が枯れるくらい大声で泣き叫ぶ凛の背中を幹久はただ、抱く。『泣き止め』とも『大丈夫か』とも声を掛けることなく、ただ、無言で傍に居た。
――…いつの間にか凛の手を幹久の背に回っていた。
幹久を上回るほど腕に力を入れる凛。内に秘めていた思いを見破られた彼女はすがる他なかった。幹久の粋な優しさに凛の心は脆くも儚く、崩れ落ちた。