魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
第8話
兎は狼に牙を向く
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屋上から中庭を見下ろす2つの影があった。
1つの影はフェンスに蹴りを入れる。“ガシャン!”と盛大に音を立てるフェンスは今にもネジが取れて外れてしまいそうだった。
歯軋りをして中庭で抱き合う生徒達を睨む彼を見てもう1つの影は嗤笑する。
「大丈夫ですかぁ〜?目が逝ってますよ〜?」
挑発するようにニタニタ笑うのは紗枝。
「黙れよ。」
そしてヘラッと笑うもう1つの影は響だった。しかし目は笑っていない。