魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
響は冷めた目で中庭を見下ろしながら言う。
「あれ、オメエの兄貴じゃねえの?」
「そうですよ。」
しれっと肯定する紗枝。
「困るンじゃねえの。“大事な先輩”が兄貴に取られたら。」
「ふふふ。それを響先輩が言いますか。“大事な友達”を取られてヤバいのは響先輩もですよ。」
立場は違えど思いが向く先は同じ。
一見普通に会話しているようにも見えるが2人の間には火花が飛び散っていた。