魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「悪魔は響先輩ですよ。響先輩は紗枝の邪魔ばっかりするんで嫌いです。」
「随分と率直に言うじゃねぇの。響くん傷付いちまったぜ。」
「ならそのまま病んで自殺して下さいよ。貴方が居なくなることは紗枝のためで―――――凛先輩のためです。」
紗枝はスッと目を細めた。そして『悪魔と言うより、』と小さく呟くと今度は響に聞こえるくらいの声で言う。
「―…ほんと、死神みたい。」
軽蔑した眼差しに“死神”は笑う。
「そりゃあ不名誉な二つ名だ。」
「貴方の傍にいる凛先輩が可哀想で仕方がないです。面倒事ばかり起こしてる貴方は凛先輩を不幸にする種です。死神のように凛先輩を地獄に引き摺り堕とすつもりですか。離れて下さい。」
「嫌だね。」
「…ッ離れろって、言ってるの。」
「無理。」
ノンストップで罵る紗枝。
しかし即座に断られて歯を食い縛る。徐々に紗枝の口調が荒々しくなった。それを嗤笑するかの如く響は笑みを絶やさない。