魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「怖かった?」
「え、」
「怖かった?」
「う、ううん、別に、」
「怖かったでしょ?」
「……少し」
誘導尋問のような問い掛け。気を使って否定していた凛だが余りにしつこい捺に、渋々と頷いた。
「ごめん」
ギュウッと凛を抱き締める。
その抱擁が痛いとは口が裂けても言えなかった。優しく壊れ物を抱くなんてものじゃない。逃がさないように強く抱擁される。強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く強く。強く、抱擁され、躰が軋む。
痛いけど凛はさっきの怖い捺を見たくなくて、素直に抱き締められた。
金髪が頬を撫でる。擽ったくて身を捩ると、捺は更にキツく、抱き締めてきた。