魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
何故か紗枝が“それ”を知っていることに一瞬、響は口元を歪める。しかしタバコで隠し気付かれることはなかった。
「ほ〜んとあの先輩って使えますよね〜。ちょっと変わってますけど。ただの変態とばかり思ってましたよ〜。」
「…真葵か。」
「あれ?真葵先輩が変態だってことは承知の事実なんですね。」
変わり者で変態と言えば“アイツ”しか居ないだろう。と思った響の頭に浮かんだのは真葵だった。
真葵は響を庇うつもりもなければ貶すつもりもない。ただ紗枝が犯人を捜していたから教えただけ、と言うところだ。真葵はそう言う奴だ。気紛れで読めない男。
厄介な奴にバラしたことで若干、真葵に殺意が芽生える。