魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「あんなことするなんて信じられな〜い!気持ち悪いですぅ。」
口元に手を添え歪んだ笑みを隠す。内心では笑い転げている筈だが。紗枝は皮肉を込めて響を蔑む。
「へぇ。オメエは弱味でも握ったつもりなの?」
「あれ?随分余裕なんですね〜。紗枝が凛先輩にリークすれば響先輩の株なんてガタ落ちですよ?」
「凛が俺よりオメエを信じるとは思わねえけど。」
「な…っ。」
その言葉に紗枝は顔を真っ赤にする。響は紗枝より自分の方が信頼がある、と言ったからだ。
それは、きっとリークすれば凛は響を軽蔑すると思っていた彼女にとって屈辱的な言葉だった。
「それにオメエがリーク出来るとは思えねえけどな。」
「何言ってるんですか?出来ますよ。貴方を陥れるためなら。貴方がどうなろうが知ったことでは有りません。寧ろ貴方は邪魔なんで消えてくれるのは凄く嬉しいです。そんなに余裕があるなら地獄を見せて上げても良いですよ。」
「へえ。ならしてみろよ。浮き彫りになって困るのはオメエだろ?」
その言葉に紗枝は眉を顰めた。
心当たりがないのか、あるのか。