魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
可愛がられてきたため弟の出現にショックを受けたかと思いきや、肩を震わせて笑う紗枝。
「弟って紗枝と同い歳ですか?」
「知らねえよ。けど消去法でそうなるだろ。この学校の生徒みてえだしよ。制服着てたし。」
「…へぇ。ここの、」
同じ学校だと聞いて口角を上げると『紗枝に天秤が傾き過ぎてて怖いなぁ、』と戯けたように呟く。
自分にとって都合が良すぎることが愉快で堪らなかった。
「まさかオメエ、ソイツを利用するつもりじゃね〜だろうな。」
「やだなぁ〜利用だなんて人聞きの悪い。ビジネスみたいなものですよ。」
弟に近付こうと目論む彼女の思惑に響は気付いた。しかしあくまでビジネス―――所謂上辺だけだと紗枝は語る。