魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
第9話

パーソンの一欠片









***





放課後のビニールハウス。





「何の変哲もない土から綺麗な花が咲くのって不思議だと思いませんか?」

「そうだね。でも綺麗に花を咲かせるのは紗枝ちゃんが愛情を込めて育ててるからだと思うよ。」

「そ、そうですか?エヘヘッ。」





照れ臭そうに笑いながら土を弄る。1つ1つの作業を隣で見ていると本当に丹精込めて花の育ていることが分かる。





「ねえ。私も手伝おうか?」

「大丈夫です!凛先輩の綺麗な手を汚すわけにはいきませんから!」





このやり取りは4回目だったりする。


1人で土を掘ったり種を蒔いたりする紗枝を目にし、手伝いたくて凛はウズウズしていた。


しかしキッパリ断られたため隣で見ていることに。


たまに種の袋や、スコップを渡したりするぐらいであまり役に立っていないが。
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