魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





事の発端は30分程前。


凛が生徒指導の先生に呼び出された響を待っていたときだ。


『暇なら紗枝とビニールハウスに行きませんか!?』と園芸道具を持った紗枝に声を掛けられた。


何もすることがなく退屈だった凛は躊躇うことなく承諾して紗枝に着いてきた。そして今に至る。





「響先輩も生徒指導の先生に呼び出されるなんてバカですよね〜!きっと今頃反省文を書かされてますよ!良い気味です!」

「はは、」





サラッと毒を吐いた紗枝に苦笑い。




「響は最近、サボり過ぎてるからね。」





呼び出される原因となった出席日数。そして普段の素行も良くないため呼び出されてしまった。所謂自業自得と言うヤツだ。


響は頭が良ければ運動神経も良い。真面目にやっておけば模範生なのに、と凛は思った。紗枝の言葉を借りるなら響は『バカ』だ。
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