魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「サボった人を呼び出すなら園芸委員の人も指導して欲しいなぁ。」
ザクザク。土を掘りながら紗枝は呟いた。
そこで凛は『そう言えば』と、あることに気付く。ビニールハウスに紗枝と自分しか居ないことに気が付いた。
「他の委員の人はどうしたの?」
「居ませんよ。園芸委員なんて面倒臭いもの、無理矢理押し付けられたか、嫌々入って来た人ばっかりですから。」
そう言う紗枝はどこか寂しげで、凛の胸が痛んだ。
きっと純粋に園芸が好きで園芸委員会に入ったのは紗枝だけなんだろう。
他の生徒は内申のためだったり、嫌々だったり。だから、表だった役目しか果たさず、紗枝のようにビニールハウスには来ない。