魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
しかし凛の心配をよそに、紗枝はケロッとしていた。
「まぁヤル気のない人に来られても邪魔なだけですけどね〜。ここが汚れちゃいますよ。」
いまの寂しげな目は嘘だったのか。サボる園芸委員達の愚痴を言い始めた。
ガーデニングが趣味らしい紗枝は花の世話をすることが苦ではないらしい。でも、
「1人で、寂しくない?」
こんな密閉空間に1人で居るのは寂しいだろうと凛は思った。
眉を下げて聞いてくる凛に、紗枝はきょとんとした。そしてフッとおおらかに微笑む。
「――…やっぱり好きだなぁ。」
「え?」
「ふふ!何もないです!それと紗枝は寂しくないですよ?花に囲まれたところに居れるだけで幸せなので!寂しさなんて有りません!それに、いまは凛先輩も一緒ですから!」
「紗枝ちゃん…」
「エヘヘッ!」
照れ臭そうに頬を掻く紗枝に、凛は安堵して笑う。そして相変わらず可愛いことを言う紗枝に癒された。