魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





そして紗枝は肩で息をすると、凛の首からパッと手を離した。





「…っげほ!はぁっ、ひ、」





いきなり空気が吸い込んだことで一瞬だけ呼吸困難に陥る。


凛は絞められていた首に手を添えた。僅かに震えているのは呼吸がしずらいせいか―――――恐怖なのかは分からない。


凛はまさか紗枝にここまで恐怖の波を掻き立てられる日が来るとは思っても見なかった。





「あは、あはははは!見て!紗枝の証!」





真っ赤になった首を見て紗枝は甲高く笑う。いつも無邪気な面影はなかった。可愛い後輩、の筈なのに、凛は目を逸らしたくなる。
< 145 / 317 >

この作品をシェア

pagetop