魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「紗枝は、可笑しいですか?」
「え…?」
「だって紗枝は、女の子なのに…」
お互いに土の上に座って向き合う。凛は土の上で横になっていたせいで土まみれ。かなり汚れていた。
しかし土を払う前に紗枝の言葉に耳を傾ける。彼女が何を言いたいのか凛は分かった。
確かにそれは『可笑しい』のだろう。
でも…
「私も紗枝ちゃんのこと好きだよ。」
「で、でも紗枝と凛先輩の“すき”は…っ」
「それでも私が紗枝ちゃんのことを好きなのに変わりはないよ。」
「凛、先輩…」
「全部引っ括めて“紗枝ちゃん”が好きだから。」
少し乱れた髪の毛を整えてくれる凛に、紗枝の目からは大粒の涙がポロポロと零れ落ちた。