魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「今日も“幹久先輩”と逢ったのか?」
『えっ…な、なんで?』
「答えろよ。」
まるで尋問のようだった。1枚の扉を隔てて響は立っているのに、凛はゾッとする。きっと真っ正面から響を見たら腰を抜かしそうだと思った。それだけ響の声は怒りに染まっている。
『…あ、逢ったよ。』
「へえ。オメエとソイツの関係は?」
『た、ただの、先輩と後輩、です。』
「ならどこで逢った?」
『―――ッ!』
凛は目眩がした。
それは浴室に籠った熱のせいではない。響が全てを知っていることに気がついたからだ。