魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「ただの後輩と先輩が抱き合うのか?」

『違うのっ。あれは…』

「オメエらが居た中庭は屋上からなら見易いんだよ。」

『…っ』

「ハッ。愛を育みてえならもっと上手くやれ。」





一方的に凛を責める。蔑むように笑う彼の目は冴えていた。


その蔑みはガキみたいな嫉妬をする自分にか、詰めが甘い彼女に対してかは分からない。


弁解の言葉も聞いてくれない響に唇を噛み締めた凛。





『違うってば…』

「黙れよ。」





響は言葉を被せてくる。


やっぱり何も聞いちゃくれない。
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