魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「じゃ〜ね。愛しの凛チャン。」
ヒラヒラと手を振りながら出ていく響を見送った後、凛は溜め息をついて項垂れた。
それは安堵からか、気疲れからか。きっと両方からだろう。
響が居なくなったことで肩の力が抜け、一気に疲れが押し寄せた。
「―――――痛い。」
ポツリと呟く。
誰に言うわけでもなく呟き、凛はお腹を擦る。
走る痛みに『ああ。殴られたんだ、私。』とぼんやり考えた。
日に日に増してく響の愛に身体が震え上がる。
いままでは、これが彼なりの愛情表現だと自分に言い聞かせていたが、今日は応えてしまった。