魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
***
「カフェオレ1つ。」
「えっと…ミックスジュースとレアチーズケーキで。」
「畏まりました。少々御待ちくださいませ。」
お洒落な喫茶店で比較的女の子が多い店内。
凛は注文を聞いた店員がにこやかに去って行くのを見届けてから目の前に座る紗枝を見る。
彼女の顔色は依然として優れない。少しの沈黙が流れた後聞きづらそうに尋ねた。
「…幹久先輩は、大丈夫?」
あまり掘り返すのは気の毒だが、幹久の容態を知るのは彼女のみだ。凛は恐る恐る紗枝に聞く。手の震えを隠すために膝の上でギュッと握り締めた。