魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
真横に突き刺さったナイフに凛は肩を揺らした。凛の潤む瞳を見て響は嬉しそうに口元を歪めた。
「ほん〜と可愛い」
「……ッ」
覆い被さるように、凛をゆっくりと抱き締めた響は震える瞼を舌で舐める。相変わらず妖艶な男だ。
舌の感覚に凛は肩を大きく揺らすと唇を噛んだ。
「……凛」
“へ”の字にする凛の唇に人差し指を当ると無理矢理抉じ開ける。
「凛。名前」
「……、びき」
「だ〜め。ちゃんと読んでくれねえと許さねえよ?何無抵抗に捺に抱き締められてんの?凛チャン」
「ッ、あれは、ちがっ」
「俺はバッチリ見てんだよね〜。凛が捺の背に手を回してるとこ。あ〜あ。俺の凛が穢れちゃった。俺の心も傷ついちゃったじゃねえの。もう生きてけねえわ」
「なら今すぐ失せろ」
「はいはい。捺は黙ってよ〜ね」
机に刺さっているナイフを抜くと笑顔でナイフをちらつかせ、脅迫する。冗談半分の脅しではないから恐ろしい。まず此の男は何故、小型ナイフを所持しているのか…