魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「早く逢いたいな…」
身内の紗枝と違いまだ会うことが出来ない凛はポツリと呟く。
「もう少ししたら会えますよ。」
紗枝が言うにはもうじき面会謝絶は解禁されるらしい。それまでに幹久が目を覚ますかと聞かれたら、それは分からない。
「早く目を覚まして欲しいね…」
俯いて言った凛はハッとした後、顔を上げる。自分より不安なのは紗枝だと言うのにわざわざ不安を煽るようなことを呟いた自分を恨めしく思った。
「ご、ごめん。」
「いえ…」
紗枝はふるふる顔を振る。やはりどこか元気がない。こればかりはどうしようも無かった。気休めの言葉しか掛けれない凛は早く幹久の容態が好調になる事を祈った。