魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「ごゆっくりどうぞ。」
頭を下げてから落ちている造花をサッと掴み、持ち去る店員。この状況に突っ込むことなく笑顔を浮かべる店員に凛は関心した。
「とりあえず、座ろ?」
「…はい。」
おずおずと話し掛ける凛に紗枝は頷いた。そして運ばれてきたレアチーズケーキに手を伸ばす。
「絶対、」
「…」
「絶対響先輩です。」
レアチーズケーキを食べながら言う紗枝は凛と目を合わせようとしない。断固としてこの見解を譲るつもりがない紗枝に凛は困った風に眉を下げた。