魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「き、汚いから、こう言うのは止めようよ。」
「汚くないよ。」
「〜っ」
けろっとする捺には何を言っても無駄だと思ったのか凛はそっぽを向く。その頬はほんのり赤く染まっていた。
捺の羞恥心の無さに少し呆れる凛だった。
「はい。絆創膏。」
「あ、有り難う。」
どこからともなく出した絆創膏を凛に渡す。
あるなら舐めずに早く出してよ。と思ったのは凛だけの秘密。
ペタッと傷口に巻き付け捺を盗み見る。久しぶりに逢う捺はやはり捺のまま。
「なに?」
「い、いや。」
あまりにじっくり見すぎていたせいで捺と目が合ってしまった。凛は挙動不審で顔を逸らす。疚しいことなんてないが、ただの条件反射だ。