魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
凛はあたふたと何か話題を探す。こう言うとき二人だけの空間は気まずいと思った。
「ひ、久しぶりだね。」
「うん。」
放送室にあるCDを弄りながら捺は頷いた。さりげなく言ったことだけど本当に“久しぶり”
「サボり…?」
「多分。」
「た、多分って…」
曖昧な言葉に凛は呆れる。
自分の事なのにあやふやなのかと。
「用事があったから。」
「用事?」
「うん。」
頷くだけで肝心なことを言わないあたりこの続きは聞くことは出来ないだろうと凛は察する。その“用事”とやらを聞きたかったけど捺の反応からすると無理だ。