魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−

「あ〜ムカつく。アイツ超ムカつく。やっぱ生意気過ぎるじゃねえの。イケ好かねぇわ。」





『ムカつく』と呟いた後響は坦々と愚痴を零す。何かを悟った真葵はニマニマ笑う。





「逢ってきたのかい？」

「ガン付けられただけ〜。」





タバコを取り出して火が付けられる。





「自分から逢いに行くわけねえだろ。偶々だっつうの。凛を独り占めしやがって。呪うぞ。」

「確か真葵が襲われたのって響に呪われた後だよね。効力はあるんじゃない？」

「お。ならもういっぺん真葵で試してみるか。」

「切実に止めてくれ。」





真葵はどこからともなく取り出された藁人形に顔を引き攣らせる。冗談だとヘラヘラ笑う響に、更に顔を引き攣らせた。