魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





最近――――夢を見る。


“誰か”は血を浴びて“凛”は夥しい血の真ん中に突っ立っている夢を。


耳が痛くなる音が聞こえ漂う筈のない匂いがする。何かが折れる音と鉄が錆びた匂い。


夢、の筈なのに何故か鮮明で毎晩凛は魘された。


所謂不眠症だ。





「―――ぐ、あ。」





まるで海で溺れているかのように凛はもがく。
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