魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「はぁ…はあ…っ」





肩で息をする凛。


手を添えれば頬は濡れていた。


そこで漸く自分が泣いていることに気づく。


生理的な涙の滴がポロポロと零れ落ちる。





「ゆ、め?」





自分が血の雨を降らしていた。


血溜まりのなかで笑っていた。


足元に倒れているのは見覚えのあるひとで――――‥





「や、めてよ。夢、なんだから。」





夢のなかの“凛”が自分とリンクしてしまう。“凛”は凛だけど、あくまで夢に過ぎない。しかし、夢にしてはリアルすぎた――‥
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