魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「“今日も”凛が担当?」
「うん。そうなの。最近皆集まり悪くて…。なんか怪我したひとも居るみたいだし、」
「―――…ふうん」
「物騒だよね。ちょっと怖いな」
凛は押し黙り悄気る。
最近此処等で現れる“通り魔を”思い出している様子。
そして放送委員もその被害者であることを。
その事件に関連する訳でもなく、委員会に参加しない生徒もナゼか増えた。
何も知らない凛はどこか不安を抱えていた。
響は通り魔関連や、委員会関連の事情を知ってか知らずか、適当に頷く。
それは興味が無いからか、又は、“知っている”からなのか。それは響にしか解らない。
「まぁ、そのお陰で俺は凛と居る時間が増えたけど」
「は?ただの委員会だろ。わざわざ自慢する事でもねぇよバァーカ」
「その委員会は愚か同じクラスになれなかったお前は哀れだね」
嘲笑う捺に顔が引き攣る。
2人の遣り取りをおろおろしながら見つめる可愛い凛に、捺はレアな笑みを浮かべた。