魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





ベッドとベッドを遮るカーテンが開かれたことで凛は目を見開く。そしてそのまま固まった。


泣き声はピタリと止み、顔を上げることが出来ないまま、硬直した。“誰か”が自分の真横に居る、それだけで凛が凍り付くには充分過ぎた。





「っ、」





―――――だ、れ。


顔を上げて確認したいのに恐怖に苛まれて顔をウズめたまま。震えが止まらず歯がカチカチと鳴る。


―――――誰、なの。


いきなり開かれたカーテンに恐怖のボルテージは頂点の間近に達する。凛が目をギュッと閉じたとき―――ふんわりと温かい感触に包まれた。





「凛。」


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