魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「で、でも捺君に迷惑かけてるよ?私が毎日担当だと、捺君も毎日放送室(ここ)に来るはめになっちゃうし…っ、」
「そう?邪魔者が居ない凛と2人だけの時間が多くて俺は嬉しいけど」
「捺君…」
「俺が好きで委員になったんだし凛は心配しなくていいから」
「…ありがとう」
嬉しそうに凛はハニカんだ。
良いムードを漂わせる2人に嫉妬するのは独り蚊帳の外に居る響だ。
凛と捺を引き剥がすように凛の手を掴む。
「響?」
「帰るぞ」
「あ、うんっ」
引き摺るように凛を連れていく響を見て、捺はフッと笑った。
飄々としている響も、凛のことになると感情を露にする。相変わらずの余裕の無さには笑われずには居られない。