魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「…軽蔑しないんですか?」
此れだけのことで紗枝を見る目が変わると言った凛は、幹久に軽蔑されると思った。しかし返ってきたのは了解の意。
「凛に言ったのは俺だ。」
「……」
「こうなると分かってて言った。俺が凛の立場なら同じだったと思う。だが、俺とアイツは切っても切れない縁だ。凛とは違う。襲われたとしても、切れない仲だ。今更見る目を変えたって仕方ないだろ。」
「…ですよね。」
それが凛と幹久の違い。直ぐに仲を断ち切れる凛と、切りたくても完全には切ることが出来ない幹久。家族か、他人か。それだけだ。