魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「て、転勤した筈じゃ、」
「転勤?」
クラッシュジーンズに黒のTシャツを着るスポーティーな村上先生。そこに教師と言う面影はなく、ただの爽やかなお兄さんだった。
凛の言葉に首を捻る村上先生は『ああ。そう言う噂が流れてるのか。』と頷いた。
「教師は止めたんだ。」
「や、止めた!?」
「家業を継ぐために実家に戻った。」
あっさり言われた凛は唖然とする。しかし“入院した”と噂される村上先生は意外と元気そうで安堵する。