魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「あ、あの…身体の方は…」





安堵したのも束の間に、凛は“紙”を思い出して青褪める。激しく心臓が脈打つのを感じた。





「はは!俺が“襲われて入院した”噂のことだろ?」

「は、はい。」

「ただの検査入院だ。気にすることねえよ。」





凛の頭をクシャッと撫でる村上先生はやはり“お兄さん”だった。最後に逢った日も、こうして頭を撫でて貰ったことを思い出して、じわりと胸が熱くなる。
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