魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
「送ってやる。」
「え?」
「教室に行くんだろ?」
「あ、はい。」
逸らした目を凛はおずおずと村上先生へと戻す。ニカッと爽やかに笑った村上先生は背を向けて教室に歩き出した。ハッとした凛は、あたふたと着いていく。
「わ、悪いです!1人で行きますから!」
「まぁ、そう堅い事言うなって。もうここに来ることもねえだろうから、最後に刻み込んで行きたいだけだ。」
思い出として校舎を見ておきたいと言われれば、何も言うことが出来なくなる。
口を閉ざした凛は大人しく、村上先生をパタパタと追い掛けた。