魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
適当に手にした一枚の写真。
それを見た凛は―――‥
「あ、れ?」
後悔する。
「え、」
凛は自分の目が可笑しくなったのかと思った。念のため目を擦るが写真の印画は変わらない。
華奢で茶色の髪をした写真の中の女の子には見覚えがあった。
「紗枝、ちゃん?」
そう。写真に映る、ちまちました女の子は紗枝だった。百歩譲って写真に映る子が紗枝だと譲歩したとしても凛には気掛かりなことがあった。
この写真の背景は“更衣室”
そして“紗枝”らしくない笑顔を浮かべた紗枝は“あるもの”を手に持っていた。それは、
「…せい、ふく…」
紛失した 制 服 だった。