魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−
まるでお節料理のようなお弁当。
お箸を渡された凛は、やはり申し訳なさそうな顔をする。これを作るのに一体どれ程の時間と体力と気力を費やしたのだろうと。
「こ、今度は私が作るね。」
「え!?凛先輩の手作り!?」
「うん。」
蓋を持ったまま紗枝は固まった。
「嬉しいです!紗枝の家宝にします!」
「た、食べて欲しいな…」
お弁当を家宝にすると言われた凛はおずおずと呟く。勿体無い!と紗枝は嘆いている。
折角凛が作った物を胃の中で消化させることが許せないのだろう。しかし腐らせる事も勿体無いと、凛は苦笑いした。