魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「え」

『凛の安否を確認したかっただけだ。』

「ちょ、幹久先輩…っ」





坦々と話を進める幹久に凛は制止をかける。電話の向こうに居る彼には見えないと分かっているのに身振り素振り感情を表す。





「さ、紗枝ちゃんは…!」

『ああ。襲われたと言っても骨折程度だ。ピンピンしてる。今頃、林檎を食べてるんじゃないか?』

「そ、そうですか。」

『今日は検査入院で明日には帰れるらしい。』

「なら私も今からそっちに―――――‥」

『ちょっと待て。』





ベッドから下りようとした凛だが幹久の声でピタッと止まる。
< 270 / 317 >

この作品をシェア

pagetop