魅惑ボイス−それを罪と呼ぶのなら−





「本当にこの時間は紗枝にとって天国です!凛先輩と逢える時間がいっつも待ち遠しいです!」

「ふふ。私もだよ。」

「本当ですか!?」





目をキラキラ輝かす紗枝はまるで小動物。身を乗り出して聞いてくる無邪気な彼女に微笑ましくなる。紗枝は弾ませていた声を一変、シュンッと悄気る。





「…紗枝も凛先輩と同じ学年が良かったです。そしたら凛先輩とずっと居れるのに。今からでも編入出来ると思いますか?」

「それはちょっと無理、かな?」

「…紗枝、2年生になりたい。」





無理だと分かっていても凛先輩と“いつも一緒に居たい”願望が抑えきれない。俯いてそう言う紗枝に凛は苦笑いする。悩み事には相談に乗りたいけど、流石に学年を変える事は無理だと。
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